オーストラリアのスーパーやコンビニにはお酒が売ってない。
法的に売れない。だから酒は酒屋で買うわけです。
家の近くに行きつけのワインショップがあって
今まで買ったワインにハズレがないほど品揃えのセンスがよく、
それはそれはもう気に入っている。
でも、1人で行けない。
なんかもう怖いんですよね。店員さんの英語が。
店員さんは2人いて、1人は女性。
ギリギリ聞き取れるくらいのスピードで話してくれる。
一方で私が恐怖心を抱いているのは男性店員。
何がおすすめ?って聞くと
「軽い感じが良ければこれ、バランスいいのはこれ、個人的に好きなのはこれ。」
5秒で3本紹介してくる。
ね?怖いでしょう?
最初何が起こったのかわからなかった。
突然ラップバトルでも始まったのかと思った。
結果私は夫の後ろに隠れ、華麗にラップで返す夫を眺めて
美味しいワインを手に入れていた。
でもそんな私に独り立ちの日がやってきた。
つかまり立ちもまだなのに。首座ってるかも怪しいのに。
年に一度のビッグイベント、夫の誕生日。
ステーキを焼いて、美味しいワインを用意しようと。
そして美味しいワインならあのお店だろうと。
私は「どうか女性が立っててくれ…!」と
お店に向かった。
うん、おっけー、男性しかいないわ。
どうする?もうなにもわからんよ?
でも夫の誕生日だ…!
少なくとも彼はお前が今習ってる言語を喋ってる…!
行け…!
冗談抜きで店入る瞬間に生唾飲みました。
これから万引きする人じゃん。
お店に入った瞬間。
「いらっしゃい!調子はどう?今日はもう買うものは決めてる?
もし何か気になることがあれば遠慮なく声かけてね!」
この段階でもう目眩しました。言葉数と秒数が合わない。
私の脳にはインテル入ってない。全然処理できない。
でも…!夫に美味しいワインを買って帰る…!
「実は今日夫の誕生日で、ディナーにステーキを用意するからそれに合うワインが欲しくて。
でもワインのことわからないからおすすめ聞いてもいい?」
ここから彼、アクセル全開です。
「了解まかせて!やっぱり赤ワインがいいと思うんだけど、冷やして飲みたい?それとも常温?
あとステーキソースは何にするのか決まってるの?
ガーリックバターね!間違いないね!
それならこの4本がいいと思うけど、僕はその中でもこれが最高だと思うな!あ、苦手な味の系統とかある?」
私が聞き取れた範囲でこれ。
しかもどの4本かわからない。
4本おすすめされたのに1本もどれを指してるのかわからない。
あなたが言ってる1番のおすすめってコレ…?
「これこれ!」(多分私が言ってるのと違う)
(え、どれ…?)
…えっと、ピンクのラベルに羊いるやつ…?
「そう!」
あってた〜!もう正直その4本がどんな味するとか
1ミクロンも理解できなかったけどとりあえず
おすすめの1本当てれた〜!これ買って帰ろ~!
はじめてのおつかいを終えたぐらいの気持ちで帰った。ルンルンだった。
あれテレビで放送されてたらうちの親族みんな泣いてたんじゃない???
ワイン、最高に美味しかったけど
毎回彼のおすすめ当てクイズやる訳にいかないので
ちゃんと聞き取れるように頑張ります。